夏目漱石のこころのあらすじです。
こころ (新潮文庫)

夏目漱石のこころという作品を知らない方はほとんどいないと思います。
読んだことがなくとも、書名だけは聞いたことがあるという方も多いでしょう。
教科書に取り上げられる定番のテキストです。
ただ、危険なのは、教科書に掲載される場合、抜粋の場合が多いということです。
前文を掲載している教科書はほぼないでしょう。
それくらいボリュームのある本ではあるのですが(文庫で330ページくらい)、この作品で読書感想文を書いて文句をつける教師はいないはずです。
それくらい、日本の文学史に確固たる地位を築いている作品です。
「こころ」は、大きく分けて3部構成になっています。
第1部は「先生と私」
第2部は「私と両親」
第3部は「先生と遺書」
という構成です。
一人称はすべて「私」という言葉で語られるのですが、第1部と第2部の「私」というのは先生から遺書を受け取ることになる「私」です。
第3部で用いられる「私」は先生が遺書の中で自分のことを示す語として使われています。
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あらすじ
私が先生と初めて会ったのは、鎌倉の海岸だった。先生にひかれた私は、東京へ帰ってからも、頻繁に先生の家をたずねるようになる。
先生は、特に仕事をするわけでもなく、人付き合いもほとんどない。美しい奥さんと二人暮らしだ。ただ、毎月決まった日に雑司ヶ谷の墓地に墓参りに行く。だれの墓かたずねてみるが、「友人の墓」ということしか教えてくれない。
先生のちょうど留守のときに訪ねていってしまった私は、奥さんから「書生の頃はこんな性格ではなかった」という話を聞く。それが次第に人付き合いもなく、今のような性格になってしまったのだが、その理由は奥さんにも分からない。奥さんは、先生のその変化が自分のせいではないかと悩んでいる。私が先生が変わったことになにか思い当たりはないかと聞いてみると、大学生のときに仲の良かった友人が亡くなったことくらいだという。私は先生の過去に興味を持つが、先生は「時期が来たら残らず話す」というだけだった。
大学を卒業した私は一度帰郷することにする。帰郷する私に向かって、先生は「君のうちに財産があるのなら、今のうち能く始末をつけてもらっておかないと不可いと思うがね、余計なお世話だけれども。君の御父さんが達者なうちに、貰うものはちゃんと貰って置くようにしたらどうですか。万一の事があったあとで、一番面倒の起きるのは財産の問題だから」と、念を押す。
帰郷すると、病床にある父は比較的元気だったが、明治天皇崩御の知らせを聞いて再び病状を悪化させてしまった。やがて、そのまま危篤状態になり、親戚縁者が呼び寄せられることになる。そんな最中に、先生から分厚い手紙が私のところに届く。そこには自殺をほのめかす一文があり、私は急いで列車に乗り、車中で手紙を読んだ。
手紙は先生の遺書だった。そこには先生の過去が明かされていた。
20歳前に両親を亡くした私(これ以降の「私」は先生のことである)は、信頼する親族に裏切られて人間不信になった。その後上京して住むところを探していた私はある下宿に落ち着くことになる。そこは軍人の未亡人の家で、お嬢さんが一人いた。いつの間にか私はお嬢さんに「神聖な愛」を抱くようになった。
その頃、同郷であり親友のKも下宿に住むことになる。Kは親から勘当されて困っていた。しかし、次第にお嬢さんと打ち解けていくようになる。私はKに嫉妬を感じるようになった。
あるとき、Kからお嬢さんに対する恋心を打ち明けられた私は、Kの恋愛をあきらめさせるために「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」と言い放つ。他方、自分は未亡人を見方にして、」お嬢さんとの結婚の約束をしてしまう。
それを知ったKは自殺した。私宛にも遺書は残されていたが、そこには恨み言一つ書かれていなかった。ただ「自分は薄志弱行で、とうてい行く先の望みはない」と書かれ、今までいろいろと世話になったということが、淡々と綴られていた。
その後、お嬢さんと結婚した私は、真相をお嬢さん(妻)に打ち明けられないまま、自責の念に苦しんで来た。そんな私は死んだつもりで生きていこうと決心した。
そして、明治天皇崩御の知らせを聞き、「明治の精神に殉死」すべく自殺を決意する。
手紙の最後は「私が死んだあとでも、妻が生きている以上は、あなたに限り打ち明けられた私の秘密として、凡てを腹の中にしまって置いて下さい」と結ばれていた。
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このようにあらすじを書いておいて言うのもなんなのですが、この作品は一冊通して読まないと意味が分かりません。
そのような点から、教科書の抜粋文だけを読んで「本作品を読んだ気になり」読書感想文を書くのは大変危険であることを付け加えておきます。
ただ、ドストエフスキーの罪と罰のような重さや暗さはありませんし、意外と読みやすい作品ですよ。
たぶん、一日で読めてしまう作品です。