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小説の登場人物と背景に着目する

小説には必ず登場人物(宮沢賢治作品のように登場するのが人間でないこともありますが)と物語がすすんでいく背景(場面)があります。


登場人物は小説の主題を発展させたり、ストーリーを展開するために出てきます。


ですから、登場人物の性格や行動または心理的なものについて多く描写されることが多くなります。


また、背景(場面)というのは、登場人物の行動する時代や場所、事件の展開する時代や場所のことですが、これらは現代とは限りません。また、私たちの住む実世界と同じとも限りません。(スウィフトのガリバー旅行記がよい例です)


この背景(場面)がどのようなものであるかによって、小説というフィクションの世界に真実性を与えているのです。


小説を読むときには漠然と読むのではなく、登場人物はだれなのか。またその中で主人公といえるのはだれなのかをとらえると読みやすいです。主人公をとらえることによって、主人公を際立たせる脇役の存在もとらえやすくなるからです。実はこの脇役の方が物語を読み込む上で重要なファクターになることも多いのです。


ストーリーが展開される時代については、ある程度予備知識を入れておくことも必要でしょう。


現代で通用する常識が時代によっては通用しないことは多々あります。また、国によって常識も違ってきます。


たとえば芥川龍之介の羅生門ならば、時代は平安期、場所は羅生門(実際には羅生門という場所はないので羅城門だと思っていいでしょう)と作品中に書いてあります。


平安期のいつかについては詳しく記述されていませんが、「当時はひととおりならず衰微していた」とありますから、どうも世の中が荒れていたころ、もしくは乱世であったこととが想像できます。


羅生門(羅城門)というのがなんなのか分かりにくいですが、とにかく平安時代なのですから、平安京のどこかであることは推測できます。


あとは、国語便覧などに平安京の概略図が掲載されていますから、それを見てみましょう。


すると、羅生門(羅城門)は平安京の南端にあることが分かります。


人々は大内裏に近いところに住んでいるでしょうから、大内裏からかなり離れた平安京の南端というと人々もあまり住んでいないような場所だということが分かります。


世の中が乱れている時代の、僻地ですから、あらゆる意味で荒廃しているだろうと想像できますね。


そうすると、登場人物である下人の心持ちもなんとなく寂しそうだなということがわかってきます。


そして、小説を読むときに案外助けになってくれるのが、登場人物の周囲の情景描写や自然描写です。


「雨は羅生門を包んで、遠くから、ざあっという音を集めてくる。夕闇はしだいに空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜めに突き出した甍の先に、重たく薄暗い雲を支えている」


という部分を読むと、雨、夕闇、門の屋根といった「無生物」を擬人化することによって「動」のイメージが表現されています。それに対して下人は「雨やみを待ってい」るだけですから「静」のイメージですね。


本来であれば「動」くのは「人間」である下人なわけですから、「静」である下人には無気力感が漂ってきますし、無意志的な存在に見えてきます。


そして、「夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱の間を、夕闇とともに遠慮なく吹き抜ける。丹塗りの柱にとまっていたきりぎりすも、もうどこかへ行ってしまった」という部分を読むと、「夕冷え」がし「風」も吹いていてたいへん寒く、さっきまで丹塗りの柱にとまっていた「きりぎりす」すらもどこかに行ってしまって、下人がたいへん孤独であることが分かります。


こうやって読んでいくと、登場人物と背景(場面)だけでも、登場人物の内的外的心理のかなりのことを読み取ることができます。

読書感想文の書き方

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